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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その26 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

24601号より9430号となる

 ジャン・ヴァルジャンは再び捕えられた。


 新聞は、次のようなことを報じた。

 彼がマドレーヌと名乗っていたこと。

 事業を興して成功し、市長にまでなっていたこと。

 逮捕後に脱走し、3、4日後に再び捕まったこと。

 脱走中に銀行から莫大な預金をおろし、どこかに隠したらしいこと。

 無期徒刑に処せられ、ツーロンの徒刑場に送られたこと。


 マドレーヌ市長ことヴァルジャンが去った後。

 モントルイュ・スュール・メールの町から繁栄は消滅してしまった。

 産業は廃れ、仕事はなくなり、貧しい者への助けもなくなってしまった。 


2行の悪魔の詩が読まるる場所

 脱走し、逃走していた数日間。

 ヴァルジャンはモンフェルメイュ付近をうろついていたらしい、と検察官はにらんだ。


 その頃から、モンフェルメイュでは、ブーラトリュエルという道路工夫が、

「森の中で妙なことをしている」

 と噂が立った。

 ブーラトリュエルは道路工夫としての仕事を早めにきりあげると、ツルハシを持って森に入っていき、あちこちに穴を掘っているようなのだ。


 興味を抱いたテナルディエが、ブーラトリュエルに酒を飲ませ、何をしているのか聞き出したところによると。

 ブーラトリュエルはある朝、森の片隅の藪のなかに、クワとツルハシが置いてあるのをみつけた。

 またその日の夕方、ひとりの男が何かの包みを持って、森に入っていくのを見た。

 2、3時間後、森から出てきたとき、その男は包みを持っておらず、代わりにクワとツルハシを持っていた。

 ブーラトリュエルは、男が持っていた包みには金が入っており、それを森のどこかに埋めたのだろうと推測した。


 ブーラトリュエルは森のあちこち、怪しい場所をしらみつぶしに掘り起こした。

 しかし何も掘り当てられず、そのうちにあきらめてしまった。

鉄槌の一撃に壊るる足鎖の細工

 1823年の10月末。

 ツーロンの港には、軍艦オリオン号が停泊していた。

 暴風雨によって傷んだ箇所を修理するためだった。


 ある日の朝。

 オリオン号の右舷で、ひとりの水夫が海に落ちそうになった。

 やっとのことで綱にぶら下がった彼が、海に落下するのは時間の問題だった。


 徒刑囚のひとりが、救出にむかった。

 徒刑労役として働いていた囚人のひとりだった。

 彼は、士官の許しを得て、足の鉄輪についていた鎖を鉄槌でうち壊すと、水夫のもとへ走った。

 駆けつけるのが1分も遅ければ、水夫は助からなかっただろう。


 水夫を助けた囚人が、持ち場に帰ろうとしたとき。

 疲れのためか、囚人はよろめき、叫び声をあげて海に落下した。

 危険な墜落だった。

 軍艦アルゼジラス号がオリオン号と並んで停泊しており、どちらかの船底に巻きこまれる危険があった。

 ボートが出され、落ちた囚人を探した。

 が、死体さえ見つからず、囚人は溺死したものとして処理された。


 その囚人は在監番号9340号、ジャン・ヴァルジャンという名前だった。