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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その19 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

マドレーヌ氏の頭髪を映せし鏡

 夜が明けようとしていた。

 ファンティーヌは熱の高い一夜を過ごし、明け方眠りについた。

 夜通し彼女についていたサンプリス修道女は、新しい薬をこしらえに薬局に行った。

 マドレーヌが、サンプリス修道女の前にあらわれた。

 彼の髪は真っ白になっていた。


 マドレーヌはコゼットを引き取りに行った、とファンティーヌは思い込んでいるとサンプリスは説明した。

 そうでないと知れば、ファンティーヌは落ちこむだろう。

 ファンティーヌに会うのは、コゼットを連れ戻してからにしたほうがいいのではないか。


「いや、私は会わなけりゃならない。

 たぶん、私は急ぐんだから」


 マドレーヌは眠っているファンティーヌのそばに行った。

 ファンティーヌが目を開いた。

楽しきファンティーヌ

 ファンティーヌは、コゼットはどこにいるのか、とたずねた。

 マドレーヌが答えられずにいると、報せをうけた医者がやってきて、

「子供はあちらに来ています」

 と嘘をついた。

 ファンティーヌの目は輝いた。

 医者は、まだいけません、と言った。

「子供を見たら、興奮して身体にさわるでしょう。

 すっかり治らなければいけません」

 ファンティーヌは、会いたい、と興奮した。

 医者は、それごらんなさい、と彼女の望みを受け入れなかった。

 ファンティーヌは、静かにしている、と約束した。


 ファンティーヌはマドレーヌに、コゼットのことをいろいろと質問した。

 ひとこと言いうごとに、彼女は激しい咳をした。

 ファンティーヌは叫んだ。

「娘の声がする!」

 ちょうど中庭に一人の子供が遊んでいた。

 その笑い声を、ファンティーヌはコゼットの声だと思いこんだ。

 ファンティーヌは、これからのコゼットとの生活を想像し、笑い出した。


 突然、ファンティーヌが口をつぐんだ。

 顔が真っ青になり、恐ろしいものを見つめているようだった。


 マドレーヌも振り返って見た。

 ジャヴェル警視が立っていた。

満足なるジャヴェル

 マドレーヌことヴァルジャンが法廷を去った後。

 残された検事や裁判長によって、マドレーヌの逮捕令状が発送された。

 警視ジャヴェルに、そのことは一任された。


 ジャヴェルは1人の伍長と4人の兵士を伴い、彼らを中庭に残して、ファンティーヌの病室にやって来た。


 マドレーヌと視線を合わせたジャヴェルは、恐るべき姿になった。

 地獄に堕ちた者を見る悪魔の顔だった。

 ついにジャン・ヴァルジャンを捕え得た、という確信に、彼は天にも昇る気持ちだった。