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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その14 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

安息のはじめ

 マドレーヌはファンティーヌを病院に移した。

 翌朝、彼女が目を覚ますと、言った。

「あなたは天から選ばれた者の資格を持っている。

 あなたが出てこられたあの地獄は天国の第一歩です。

 まずそこから始めなければなりません」


 ジャヴェル警視は、手紙を書いた。

 警視総監秘書シャブーイエに宛てたものだった。


 マドレーヌはテナルディエ夫婦へ手紙を書いた。

 テナルディエは金蔓ができたと考えた。

 マドレーヌは500フランを送金した。

 すぐにまた300フラン送金した。

 しかしテナルディエは一向にコゼットを送り届けはしなかった。

「なあに、コゼットを手放すものか」

 とテナルディエは言った。


 ファンティーヌを看護する修道女たちは、最初のうちはいやいややっていた。

 彼女たちにとってファンティーヌは罪深い女だった。

 だがやがてファンティーヌは彼女たちの心をやわらげた。

 ファンティーヌは謙遜でやさしい言葉を持っていた。


 ファンティーヌの容態は、一週ごとに重くなるようだった。

 背中におしこまれた雪のせいで、数年来の病芽がにわかに激発したのだった。

 医者が彼女を診察して、首を横に振った。


 一刻も早くファンティーヌとコゼットを再会させるため、マドレーヌはテナルディエのもとへ人をやることにした。

ジャン変じてシャンとなる話

 マドレーヌの書斎を、ジャヴェルが訪れた。

 ジャヴェルは、ある下級役人が罪を犯した、と報告した。

 その下級役人とはジャヴェル自身だった。


「市長殿、6週間前、あの女の事件後、私は憤慨してあなたを告発しました」

「告発!

 警察権を侵害した市長としてですか」

「前科者としてです。

 私はあなたをジャン・ヴァルジャンという男だと信じたのです。

 20年前、私がツーロンで副看守をしていた時に見たことがある囚人です。

 徒刑場を出たジャン・ヴァルジャンは、ある司教の家で窃盗を働き、街道で少年を脅かして何かを強奪したらしいのです。

 8年前から彼は姿をくらましていました。

 私は想像をめぐらして……」


 だが告発は退けられた。

 真のジャン・ヴァルジャンが別に発見されたからだった。


 シャンマティユーじいさん、と呼ばれる老人が、リンゴを盗んで逮捕された。

 ジャン・ヴァルジャンを知る牢番が、彼がヴァルジャンであると証言した。

 ヴァルジャンの母の姓はマティユーといい、ある地方では「ジャン」は「シャン」と発音される。

 年齢も54歳で一致していた。

 ジャヴェルは実際にシャンマティユーに面会し、彼がジャン・ヴァルジャンであると確かめた。


 シャンマティユーじいさんの裁判は明日開かれ、遅くとも判決は明晩には下されるだろうという。

 リンゴを盗んだだけなら軽い罪だが、前科があるので重罪犯として処罰されるだろうという。


 ジャヴェルは自分を免職してくれるようにマドレーヌに願った。

 マドレーヌは断った。

「私は君を尊敬しています。

 君は自分の過失を大きく見すぎているのです」

「私はこれまで他人に対して苛酷でありました。

 それは正当でした。

 しかしいま、もし私が自分自身に対して苛酷でないならば、私が今まで正当になしたことはみな不当になります。

 他人を罰するだけで自分を罰しない!

 そういうことになれば私はあさましい男となるでしょう」

 

 ジャヴェルは出て行き、マドレーヌは考えに沈んだ。