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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その10 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

黒飾玉の製法改良の話

 テナルディエ家にコゼットをあずけたファンティーヌは、故郷のモントルイュ・ス ュール・メールに到着した。

 故郷はすっかり変わり、栄えていた。

 

 一人のよそ者がやって来たことで、町は変わった。

 

 彼は、装飾に使う黒い玉の新しい製造法を考案した。

 彼は少ない元手からはじめて財産を築き、その地方全体を富ませた。

 

 彼が町にあらわれたのは、1815年12月のある夕方。

 こっそりとモントルイュ・スュール・メールにやっ てきたとき、ちょうど町の役所が火事になった。

 彼は炎の中にとびこんで、二人の子供を助けた。

 憲兵の隊長の子供だった。

 そのため、彼の通行券を調べてみようとする者はいなかった。

 

 彼は「マドレーヌ」と名乗った。

 

 マドレーヌ

 

 マドレーヌは50歳くらいで、親切だった。


 彼のおかげで町は著名な産業の中心地になった。

 彼は大きな工場を建て、貧しい人たちを救った。

 病院に寄付し、学校を二つ建てた。

 彼は宗教を信じていて、日曜日には必ず教会へ行った。


 マドレーヌは自分で金をためる前に、他者を富ました。

 銀行に63万フランを貯蓄したが、それまでに、彼は町のためや貧しい人々のために100万フランを使っていた。


 1819年に、彼は市長に任命された。

 しかし、彼は辞退した。

 国王は彼に勲章を与えた。

 しかし、彼は辞退した。

 社交界から招待されても、やはり、彼は辞退した。


 1820年、ふたたび彼は市長に任命された。

 ついに彼はその職を受けた。

 ある婦人にこう言われたからだった。

「人間は、自分にできるよい事を、しないでいいものでしょうか」


ラフィット銀行への預金額

 
 女たちはマドレーヌのことをこう評した。

「なんて人のいい世間嫌いだろう!」

 彼は孤独な生活を送っていた。


 彼は書物を愛した。

 小銃を扱うのが上手く、めったに撃たないが、撃てば必ず命中した。

 彼はたいへんな力持ちだった。

 そして農業に詳しかった。


 マドレーヌはイラグサが抜かれているのを見て、言った。

「若いときの葉は野菜となる。

 時が経つと繊維や筋がたくさんでき、織れば麻布のようになる。

 細かくすれば家畜のエサにいい。


 ちょっと手をかければイラグサは役に立つんだが、うっちゃっておけば害になる。

 害になるようになって人はそれを枯らす。

 人間にもイラグサと似たものがずいぶんある!


 悪い草も、悪い人間もいない。

 ただ育てる者が悪いばかりだ」


 マドレーヌはたくさんの善行をなしたが、泥棒が盗むときのように、ひそかにそれをなした。

 人々は、彼にはラフィット銀行に莫大な貯蓄があると噂した。

 銀行に行けば、すぐさま2、300万フランを引き出せると。

 だが彼の預金は上述のとおり63、4万フランだった。

 

喪服のマドレーヌ氏

 1821年。

「ビヤンヴニュ閣下」と呼ばれた司教、ミリエル氏が永眠したことを、新聞が報じた。


 するとマドレーヌは喪服を着るようになった。

 それを見て、彼はミリエル司教の親戚なのではないか、と町の人々は噂した。

 マドレーヌは否定した。

「そうではありません。

 ただ若い頃、司教の家に使われていたことがあるのです」