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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その9 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

母と母との出会い

 1818年、春。


 パリーの近くのモンフェルメイュという所に、テナルディエという夫婦がやっている飲食店があった。

 飲食店の入り口前で、店のおかみが二人の子供たちを遊ばせていた。

 

 そこへ、二、三歳くらいの女の子を抱いた、みすぼらしい女が通りかかった。

 ファンティーヌだった。

 

 トロミエスにいくら手紙を送っても、返事はなかった。

 男たちとはもちろん、ファヴォリットたち女友達とも縁が切れてしまっていた。

 困り果てたファンティーヌは、仕事を求めて故郷に帰る途中だった。

 

 ファンティーヌは、テナルディエのおかみに話しかけた。

「かわいいお子さんたちでございますわね」

 それから自分の身の上について手短に語った。

 

 テナルディエの二人の子と、ファンティーヌの子はすぐに仲良くなり、いっしょに遊びはじめた。

 

「コゼットといいます」

 本当はウューフラジーというのだが、ファンティーヌは娘の名をそう紹介した。

「じきに三歳になります」

 

 ファンティーヌはきりだした。

「コゼットを預かっていただけませんか。

 子供連れでは仕事がみつかりません。

 月に6フランずつ差し上げますから」

 

 テナルディエの夫が、店の奥で話を聞いていて、言った。

「7フラン。

 六ヶ月前払い。

 その他、支度金に15フラン」

 

「差し上げます。

 あちらへ行って、少しでもお金ができたら子供を連れにまた帰って参ります」

 

 取り引きは決まった。

 ファンティーヌは全財産の80フランから57フランを支払い、コゼットをあずけると、出立した。

 

 テナルディエの夫が女房に言った。

「これで明日が期限の手形が払える。

 うまく罠にかけたもんだね」

 

怪しき二人に関する初稿


 テナルディエ夫婦はいかなる人物であったか?

 

 世には蟹のごとき心の人がいる。

 人生において前に進むというよりもむしろ後ろに退き、絶えず悪くなっていき、しだいにますます濃い暗黒に染まってゆく。

 

 二人は、そういう魂の者だった。

 

アルーエット

 テナルディエ夫婦はコゼットを犬猫とおなじように扱った。

 ボロを着せて家族の食べ残しを食べさせた。

 

 ファンティーヌから届く手紙には、いつも、

「コゼットはすばらしくしている」

 と返事をした。

 そして、月に7フランではどうにもならない、と仕送りを12フランに増額させ、やがて15フランを要求するようになった。

 

 コゼットは五歳にもならないうちに、女中としてこき使われるようになった。

 

 彼女は土地の人々から「アルーエット(ひばり)」とあだ名をつけられた。

 小鳥くらいの大きさで、震え、恐れ、おののき、毎朝、村で一番に起き上がり、いつも夜の明けないうちに、往来や畑に出ていたからだった。

 

 ただこのアルーエットは決して歌わなかった。