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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その7 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

1817年

 1817年は、ルイ18世が彼の治世22年と称した年である。

 

 この1817年に、4人の若いパリーっ子が、

「おもしろい狂言

 を仕組んだ。

二重の四部合奏

 それらの4人の青年らは、いたってありふれた人物だった。

 名前はそれぞれ、トロミエス、リストリエ、ファムイュ、ブラシュヴェルといった。

 

 おのおのに情婦がいた。

 ブラシュヴェルにはファヴォリット。

 ファムイュにはゼフィーヌ。

 リストリエにはダーリア。

 トロミエスにはファンティーヌ。

 

 賢いのと分別があるのとは別である。

 ファヴォリットとゼフィーヌとダーリアとは分別のある女だった。

 ファンティーヌは賢い女だった。

 

 ファンティーヌの愛は、最初の愛であり、唯一の愛であり、誠ある愛だった。

 

 トロミエスは年を取った古書生で、年に4000フランの収入があった。

 30歳の道楽者で、身体は衰えていたが、洒落や快活さで補っていた。

 

 トロミエスは他の3人に、神託でも授けるような身振りで言った。

「われわれの美人たちは絶えず僕に言う。

 トロミエス、いつびっくりするようなことをしでかすの?

 

 同時にまた親父どもからはうるさい手紙が来る。

 

 僕はもう時機がやってきたように思う。

 一緒に相談しよう」

 

 そしてトロミエスが何やら秘密にささやくと、ブラシュヴェルは叫んだ。

「そいつは、うまい考えだ!」

 

四人に四人

 四組の男女は、でき得る限りのばか騒ぎをやってのけた。

 

 若い女たちは、籠から出た小鳥のように騒ぎ回りさえずり回った。

 

 ファンティーヌは自ら知らずしてきれいだった。

 

 恋は過ちである。

 ファンティーヌは過ちの上に浮かんでいる潔白そのものだった。


トロミエス上機嫌にてスペインの歌を歌う

 

 彼らは大きな綱のぶらんこに女たちをのせて激しくゆすった。

 トロミエスは古いスペインの小唄ガレガを歌った。

 

「わたしの生まれはバダホース。

 恋というのがわたしの名。

 わたしの心は

 みんなわたしの目の中に、

 わんにかわいい

 お前の足が出てるから」

 

 ファンティーヌだけはぶらんこに乗らなかった。

「あんなふうに気取ってるのはあたし大きらい」

 

 時々ファヴォリットが叫んだ。

「びっくりするようなものというのは!

 あたしそれを早く知りたいわ」

「まあ待っといでよ」

 とトロミエスは答えた。

 

ボンバルダ料理店

 四組の男女は、夕食のことを考えた。

 有名な料理屋のボンバルダが、シャン・ゼリゼーに出している支店へ入った。

 日は傾き、彼らの食欲も満たされた。


 彼らだけでなく、パリー郭外の大勢の人々は、日曜の晴れ着をつけ、遊んだり酒を飲んだりしていた。

 すべてが喜びに輝いていた。

 揺るぎなき平和と、王党の確かな安泰との時代だった。


 警視総監アングレーが、パリー郭外に関して、王にいたした特別報告には、次のようなことが書かれていた。

「陛下。

 人民には何ら恐るべきものなし。

 彼らは無頓着にして怠慢なること猫のごとし」


 猫が獅子に変わることもあるとは、警視総監は信じない。