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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その4 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ミリエル司教とヴァルジャン

 ジャン・ヴァルジャンの噂はミリエル氏の耳にも届いた。

 召し使いのマグロアールが心配し、戸にかんぬきをかけるように提案した。

「だれでも通りがかりの人が外から開けることのできるような戸は、何より恐ろしいものではございませんか」

 そのとき、だれかが戸を叩いた。

「おはいりなさい」

 とミリエル氏は言った。

 

 男が入ってきた。

 ジャン・ヴァルジャンだった。

 ヴァルジャンは問われる前に名乗った。

「私は懲役人です。

 徒刑場で19年間すごしました。

 4日前に放免されて、ポンタルリエへ行くため旅に上ったのです。

 夕方この地について宿屋に行ったのですが、追い出されました。

 出て行けというのです。

 どちらでもそうです。

 金は持っています。

 19年間働いて得た109フラン15スーです。

 私はたいへん疲れています。

 たいへん腹が減っています。

 泊めていただけましょうか」

 

 ミリエル氏はマグロアールに、ヴァルジャンの分の食事と寝床を用意するように頼んだ。

 

 ヴァルジャンは、軽蔑されないことに感動した。

 ミリエル氏はヴァルジャンの経歴を尋ねたり、罪を責めたりしなかった。

 ヴァルジャンがこれから行くポンタルリエについて、そこのチーズ製造所などのことを楽しく話して、彼を元気づけた。

 

 ジャン・ヴァルジャンは、貧しい農家に生まれた。

 両親を早くに亡くした彼は、姉に育てられた。

 姉の夫が亡くなってからは、ヴァルジャンが姉と姉の7人の子供達を養った。

 

 ヴァルジャンの青年時代は、骨は折れるが金はあまり入らない労働のうちに費やされた。

 恋をする暇もなかった。

 

 彼はできる仕事は何でもやった。

 姉も一緒に働いた。

 だが、7人の幼児をかかえてはどうにも仕方がなかった。

 

 冬がやってきて、ヴァルジャンには仕事がなかった。

 一家には、一片のパンもなかった。

 

 ヴァルジャンはパンを盗み、捕まった。

 

 ヴァルジャンは有罪を宣告された。

 5年の懲役。

 鉄の首輪を付けられるとき、彼は泣いた。

 

 姉と子供達はどうなったのか。

 若い一本の樹木が切り倒されるとき、そのひとつかみの木の葉はどうなるだろうか。

 忘れられた。

 ヴァルジャンでさえ、数年後には彼らを忘れた。

 

 投獄されて4年目の終わりごろに、脱獄の機会が到来した。

 ヴァルジャンは徒刑場を抜け出した。

 36時間後、捕らえられた。

 刑期が3年、延長された。

 

 6年目にまた脱獄の機会があった。

 建造中の船に隠れているところをみつかり、ヴァルジャンは抵抗した。

 脱獄に抵抗の罪が加わり、刑期はさらに5年のびた。

 うち2年は二重鉄鎖の刑によって罰せられた。

 

 10年目にまた機会がきた。

 やはりうまくゆかなかった。

 13年目にもう一度やってみたが、4時間で捕まった。

 懲役は合計で19年になった。