読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その3 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ディーニュの司教

 牧師は貧しくなくてはならない。

 という信念を抱くミリエル氏は、教会の他の人々から疎まれていた。

 教会の人々は贅沢を好んだ。

 

 ミリエル氏はナポレオンに対しては冷淡だった。

 ナポレオンに反対する運動に賛成し、ナポレオンのための祈祷を禁じた。

 

 ミリエル氏は孤独だった。

 彼に付き従っても昇進はできない。

 出世を望む若い牧師は、ミリエル氏には集まらなかった。

 彼から資格を与えられた者も、すぐに他の司教の紹介をもらって別の場所に去ってしまった。

 

 ミリエル氏はあまりに多くを愛した。

 一匹の蟻を避けたために足をくじいたこともあった。

 

 ミリエル氏は満たされていた。

 彼の日々は善良な思想と善良な言葉と善良な行為とでいっぱいだった。

 眠る前の一、二時間、庭に出て瞑想することが、ミリエル氏の日課だった。

 歩を運ぶためには小さな庭があり、夢想するためには無窮の天がある。

 そこにはすべてがあった。

 

ジャン・ヴァルジャン

  1815年10月。

 徒歩で旅をする男が、ディーニュの町に入ってきた。

 みすぼらしい男で、46、7歳だった。

 

 日が暮れて、男は宿を求めた。

 宿の主人は不審に思って役所に問い合わせると、男に食事も出さずに追い出そうとした。

「私は腹が空ききっているんだ。

 日の出から12里も歩いたんだ。

 金は払う。

 何か食わしてくれ」

 「君の名を言ってやろうか。

 君はジャン・ヴァルジャンというんだ。

 出て行きなさい」

 

 ヴァルジャンはさっきの宿よりも庶民的な居酒屋をみつけて、食事と宿を求めた。

 やはり食事にも寝床にもありつけず、追い出された。

 子供たちが、ヴァルジャンに石を投げた。

 

 ヴァルジャンは監獄の前を通りかかった。

 泊めてくれと頼んだ。

 断られた。

 

 ヴァルジャンは幸福そうな家の戸を叩いた。

 最初は愛想のよかったその家の主人も、男がヴァルジャンだと察すると、血相を変えた。

 ヴァルジャンは銃で脅され、追い払われた。

 

 ヴァルジャンは道端に粗末な小屋をみつけて、もぐりこんだ。

 犬小屋だった。

 番犬に襲われ、ヴァルジャンは逃げ出した。

 

 ヴァルジャンは町を出た。

 けれども空や丘や平野や樹木すら、自分を敵視しているように思えてきて、わびしさに耐えられず、町に戻った。

 

 広場の角に石のベンチをみつけて、ヴァルジャンは身を横たえた。

 年老いた親切な女が彼をみつけた。

 宿を断られたことを話すと、女は広場の向こう側にある司教邸を指し示した。

「あの家を尋ねましたか」

「いいえ」

「尋ねてごらんなさい」