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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その1 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ミリエル司教

 1815年。

 ミリエル氏(75歳)はディーニュの司教だった。

 10歳年下の妹バティスティーヌと、召し使いのマグロアールとともに暮らしていた。

 

 司教として1年に15000フランの手当てを受け取っていたが、1000フランだけを自家費用に残し、あとは慈善事業に使っていた。

 それだけではとても足りないので、交通費としてさらに3000フランを請求し、これも残らず慈善事業に費やした。

 その他にもあらゆる手段を用いて貧しい人々の救済をした。

 

ビヤンヴニュ閣下 

 いつしかミリエル氏は「ビヤンヴニュ(歓待)閣下」と呼ばれるようになっていた。

 

 あるとき、貨幣贋造の罪に問われた男がいた。

 有罪なら死刑。

 愛する女と子供を養うために犯した罪だった。

 検事は、その女に、男には他に恋人がいると嘘をふきこんだ。

 嫉妬に駆られた女はすべてを白状し、犯罪は立証された。

 人々は検事の巧妙さを褒めたたえた。

 ミリエル氏は訊いた。

「その男と女はどこで裁判されるのですか」

「重罪裁判所です」

「そしてその検事はどこで裁判されるのですか」

 

 またあるとき、手品師が死刑になった。

 臨終の祈りに立ち会う教誨師が病気になり、代わりを務めるはずの主任司祭は、

「手品師など知ったことか。

 そんな仕事は私の地位(でする仕事)じゃない」

 と断った。

 ミリエル氏は、

「道理だ。

 それは彼の地位じゃない。

 私の地位だ」

 ミリエル氏はすぐに監獄に行くと、終日終夜、その刑人のために祈り、処刑の場にも立ち会った。

 

 ミリエル司教邸の戸はいつも開けられていて、誰でも出入りができた。

 ある司祭がそのことを心配すると、

「神が家を守って下さらなければ、人がいかにそれを守っても無益です。

 竜騎兵の隊長の勇気というものがあるように、牧師の勇気というものがあります」

 

山賊クラヴァット

 クラヴァットという男が率いる山賊団があった。

 追跡を巧みに逃れ、ときとして猛烈な抵抗をする、実に不適な悪漢だった。

 クラヴァットが暴れている地域へ、ミリエル氏は巡回に行こうとした。

 危険だ、と皆が止めた。

 しかも、

「警護なしに一人で行くつもりです」

 という。

 そして、本当に行ってしまった(案内者だけを伴って)。

 

 巡回先の村には無事に着いた。

 15日間とどまった後、帰る前に正式に讃歌を歌おうということになった。

 だがそれには豪華な衣装などの準備が必要だった。

 貧しい村にそんなものがあるはずもなかった。

 すると見知らぬ男たちがやってきて、箱を置いていった。

 箱には、讃歌に必要な豪華絢爛たる衣装が詰まっており、一枚の紙に、

「クラヴァットよりビヤンヴニュ閣下へ」

 と記してあった。

 衣装は、アンブロンの大会堂から盗まれたものだった。

 

  村から帰ったミリエル氏は言った。

「盗賊や殺人者を恐れてはいけない。

 われわれはわれわれ自身を恐れなければならない。

 偏見は盗賊である。

 悪徳は殺人者である」

 

 豪華衣装のその後については、

「大会堂に戻すべきか。

 施療院に送るべきか。

 それが問題なり」