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蝸牛角上

読書メモ。あらすじ。というよりダイジェスト?

レ・ミゼラブル その30 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

テナルディエの策略 夜明けよりも2時間ぐらい前。 テナルディエの亭主は、上等な部屋に泊めた男への請求書をしたためていた。 「一、夕食 3フラン 一、室代 10フラン 一、ロウソク代 5フラン 一、炭代 4フラン 一、雑用 1フラン 合計 23フラン」 「…

レ・ミゼラブル その29 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

貧富不明の男を泊むる不快 宿屋に帰り着くと、コゼットはさっそくテナルディエのかみさんに、帰りが遅い、と叱られそうになった。 コゼットは一緒に歩いてきた男を紹介し、それを回避した。 「あの方が、泊めてもらいたい、って来ています」 テナルディエの…

レ・ミゼラブル その28 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

少女ただひとり 人気のない夜の小路を、コゼットは桶を抱えて進んだ。 人家が絶え、野に出た。 暗いさびしいひろがりが、彼女の前にあった。 「かまやしない!」 恐怖はコゼットを大胆にした。 「水はなかったと言ってやろう」 コゼットは来た道を引き返した…

レ・ミゼラブル その27 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

モンフェルメイュの飲料水問題 モンフェルメイュは、リヴリーとシェルとの間に位置し、ウールク河とマルヌ河をへだてている高台の南端にある。 のちのちには大きな町になるが、1823年には、それはただ森の中の一村落にすぎなかった。 モンフェルメイュの…

レ・ミゼラブル その26 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

24601号より9430号となる ジャン・ヴァルジャンは再び捕えられた。 新聞は、次のようなことを報じた。 彼がマドレーヌと名乗っていたこと。 事業を興して成功し、市長にまでなっていたこと。 逮捕後に脱走し、3、4日後に再び捕まったこと。 脱走…

レ・ミゼラブル その25 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ワーテルローは祝すべきか 世の中には少しもワーテルローを憎まない、尊敬すべき自由主義の一派がいる。 私(著者)はその仲間ではない。 ワーテルローは、反革命の勝利である。 フランスに対抗するヨーロッパの勝利であり、 進取に対抗する現状維持の勝利で…

レ・ミゼラブル その24 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

破滅 ナポレオン軍は壊走した。 混戦の最悪なるものはすなわち壊走である。 戦友も逃げんがためには互いに殺し合う。 騎兵隊と歩兵隊とは互いにぶつかって砕け散乱する。 戦いの大いなる泡である。 ナポレオンは逃走兵のうちを駆け回って、 彼らに説き、 う…

レ・ミゼラブル その23 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

意外事 ミローの胸甲騎兵は、数3500。 偉大な馬にまたがった巨人たちだった。 副官ベルナールは、彼らに皇帝ナポレオンの命令を伝えた。 偉大なる騎兵隊は動き出した。 騎兵隊はモン・サン・ジャン高地の急坂を駆け上がった。 高地の頂を乗り越え、 「皇…

レ・ミゼラブル その22 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

戦争の暗雲 雨は終夜、降りとおした。 地面はその土砂部にこね返されていた。 ナポレオンは、馬に引かれた砲兵隊が自由に動き回れるまで待つことにした。 戦闘は猛烈にはじまった。 ナポレオンはラ・エー・サントに向かってキオー旅団を投げつけながら敵の中…

レ・ミゼラブル その21 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ニヴェルから来る道にあるもの 1861年5月。 ひとりの旅人が、ニヴェルからやってきてラ・ユルプの方へ向かっていた。 彼は大きな弓形の石門の前に出た。 門の左側の支柱の下のほうの石に、かなり大きい円い穴があった。 扉が開いて、ひとりの女が出てき…

レ・ミゼラブル その20 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

官憲再び権力を振るう 「君の用事はわかっている」 マドレーヌことジャン・ヴァルジャンはジャヴェルに言った。 ジャヴェルはヴァルジャンの首筋をつかんだ。 「市長様!」 ファンティーヌが叫んだ。 ジャヴェルは、歯をすっかりむきだした恐ろしい笑い方を…

レ・ミゼラブル その19 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

マドレーヌ氏の頭髪を映せし鏡 夜が明けようとしていた。 ファンティーヌは熱の高い一夜を過ごし、明け方眠りについた。 夜通し彼女についていたサンプリス修道女は、新しい薬をこしらえに薬局に行った。 マドレーヌが、サンプリス修道女の前にあらわれた。 …

レ・ミゼラブル その18 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

否認の様式 シャンマティユーが最後の申し開きをした。 「私はパリーで車大工をしていた。 バルー親方の家でだ。 非常につらい仕事だったが、日に30スーしかもらえなかった。 バルーさんなら私を知っている。 バルーさんに聞いてみなさい」 裁判長は言った…

レ・ミゼラブル その17 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

到着せる旅客ただちに出発の準備をなす ヴァルジャンの馬車は夜の8時近くにアラスに着いた。 馬は疲れ果てていて、明日また帰路を走らせるというわけにはいかなかった。 ヴァルジャンは郵便取扱所を訪れ、モントルイュ・スュール・メール行きの便に乗せても…

レ・ミゼラブル その16 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

睡眠中に現われたる苦悶の象 午前3時になっていた。 マドレーヌ市長ことジャン・ヴァルジャンは、もう5時間も部屋の中を歩き回りながら悩んでいた。 彼は椅子に座り、居眠りした。 奇妙な夢を見た。 夢の中で出会った男が、ヴァルジャンに言った。 「君は…

レ・ミゼラブル その15 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

サンプリス修道女 ジャヴェルが訪ねてきた日の午後、マドレーヌはファンティーヌを見舞った。 ファンティーヌに会う前に、彼は病院で働く修道女のサンプリスを呼び、ファンティーヌのことをくれぐれも頼んだ。 そしてファンティーヌにいつもより長い時間、面…

レ・ミゼラブル その14 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

安息のはじめ マドレーヌはファンティーヌを病院に移した。 翌朝、彼女が目を覚ますと、言った。 「あなたは天から選ばれた者の資格を持っている。 あなたが出てこられたあの地獄は天国の第一歩です。 まずそこから始めなければなりません」 ジャヴェル警視…

レ・ミゼラブル その13 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

バマタボア氏の遊惰 1823年の1月。 雪の降ったある晩。 士官らの集まるカフェーの窓の前を、ファンティーヌはうろうろしていた。 バマタボアという閑人が、彼女をからかった。 ファンティーヌは無視した。 不機嫌になったバマタボアは、彼女の背中に雪…

レ・ミゼラブル その12 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ヴィクチュルニヤン夫人35フランをもって貞操を探る ファンティーヌは自分で働いて暮らしてゆくことに喜びを感じた。 小さな女の子がいることについては秘密にした。 しかし彼女がよく手紙を出していることは人々の興味をひいた。 人々は代書人に酒を飲ま…

レ・ミゼラブル その11 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

地平にほのめく閃光 1821年ごろには、モントリイュ・スュール・メールにおいて、 「市長どの」 という言葉は、1815年のディーニュにおいて、 「司教閣下」 といわれた言葉とまったく同じ調子で用いられるようになっていた。 マドレーヌは市長として…

レ・ミゼラブル その10 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

黒飾玉の製法改良の話 テナルディエ家にコゼットをあずけたファンティーヌは、故郷のモントルイュ・ス ュール・メールに到着した。 故郷はすっかり変わり、栄えていた。 一人のよそ者がやって来たことで、町は変わった。 彼は、装飾に使う黒い玉の新しい製造…

レ・ミゼラブル その9 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

母と母との出会い 1818年、春。 パリーの近くのモンフェルメイュという所に、テナルディエという夫婦がやっている飲食店があった。 飲食店の入り口前で、店のおかみが二人の子供たちを遊ばせていた。 そこへ、二、三歳くらいの女の子を抱いた、みすぼら…

レ・ミゼラブル その8 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

うぬぼれの一章 ファヴォリットがブラシュヴェルに言った。 「あたしあんたをほんとに愛してよ」 「もし僕がお前を愛さなくなったら、どうするんだい」 「追っかけて、しがみついて、ひっ捕らえて、水をぶっかけてやるわ」 ブラシュヴェルは嬉しそうに笑った…

レ・ミゼラブル その7 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

1817年 1817年は、ルイ18世が彼の治世22年と称した年である。 この1817年に、4人の若いパリーっ子が、 「おもしろい狂言」 を仕組んだ。 二重の四部合奏 それらの4人の青年らは、いたってありふれた人物だった。 名前はそれぞれ、トロミエ…

レ・ミゼラブル その6 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

彼の所業 ミリエル氏の寝室の扉は、指で押しただけで開いた。 扉のひじ金が音を立てた。 とても大きな音のように聞こえて、ジャン・ヴァルジャンは肝をつぶした。 しかし、誰も目を覚まさなかった。 ミリエル氏は寝台で眠っていた。 その顔つきは、満足と希…

レ・ミゼラブル その5 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

絶望のどん底 19年もの間、服役していたジャン・ヴァルジャン。 彼は、自分の身に起きたことについて考えてみた。 彼は自分を潔白とは思わなかった。 パンを盗まなくとも、ほかに手段はあったはずだ。 自分は誤ったのだ。 だが誤っていたのは自分だけだろ…

レ・ミゼラブル その4 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ミリエル司教とヴァルジャン ジャン・ヴァルジャンの噂はミリエル氏の耳にも届いた。 召し使いのマグロアールが心配し、戸にかんぬきをかけるように提案した。 「だれでも通りがかりの人が外から開けることのできるような戸は、何より恐ろしいものではござい…

レ・ミゼラブル その3 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ディーニュの司教 牧師は貧しくなくてはならない。 という信念を抱くミリエル氏は、教会の他の人々から疎まれていた。 教会の人々は贅沢を好んだ。 ミリエル氏はナポレオンに対しては冷淡だった。 ナポレオンに反対する運動に賛成し、ナポレオンのための祈祷…

レ・ミゼラブル その2 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

上院議員 その上院議員は、人もうらやむ成功者だった。 上院議員は言った。 「天国なるものはたわごとにすぎない。 神というのは、ばかばかしい怪物にすぎない。 私は虚無である。 生まれる前に私は存在したか。 否。 死後に私は存在するだろうか。 否。 こ…

レ・ミゼラブル その1 (ビクトル・ユーゴー作 豊島与志雄訳)

ミリエル司教 1815年。 ミリエル氏(75歳)はディーニュの司教だった。 10歳年下の妹バティスティーヌと、召し使いのマグロアールとともに暮らしていた。 司教として1年に15000フランの手当てを受け取っていたが、1000フランだけを自家費…